D=4, N=1 Poincare Supergravityの超対称性について
数式がダサい時は右クリからrendererを変えてね。
質量0の, Poincare Supergravity のlagrangianは次のように与えられる:
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Supergravityを知らない(けど一般相対論と場の量子論の基礎は知ってる)人のためにここでいくつか出て来る文字について左から順に説明をしておく。まず、はvielbeinの行列式である。vielbeinとは時空の曲がりをすべて押し込んだようなテンソルで
としてリーマン計量とMinkowski計量を繋げるように定義されている。を一般的な座標、vielbeinで局所的にMinkowski空間に落とし込んだ後の添字をとする。これらはそれぞれリーマン計量とMinkowski計量で添字の上げ下げを行う。この2つの種類の添字はvielbeinで行ったり来たり出来るとする:
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また、逆行列をとすると,
となっている。これの行列式がである:。もう1つ言っておくことはvielbeinに局所的なローレンツ変換を施してもは変わらないのでvielbeinは一意的には決まらないことである。
はスカラー曲率である。順番が入れ替わるが、曲率テンソルのために共変微分を定義しておく。先程言ったようにvielbeinを導入したおかげで局所的なローレンツ変換をしても良いのでその分独立な成分が6個増えてしまう。共変微分は一般の座標変換とこの局所的なローレンツ変換に対しても垂直になるように決めたい。そこでスピン接続を次のように局所ローレンツ変換するように導入する:
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のLはローレンツ変換のLである。また、は変換の微小パラメータである。すると例えばのようなテンソルは
と微分される。このスピン接続はTorsion freeの条件を課すと一意的に決まる:
.
ここで、である。スピン接続とCristoffel記号には関係がある:
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vielbein形式での曲率テンソルは交換的に共変微分を適当なテンソルに作用させると
というように得られる。普段見慣れたリーマンの曲率テンソルとは
のように関係している。違っている雰囲気ではあるけども共変微分がvielbeinと交換するのでどちらでも同じである。
これでsupergravityにおける共変微分が定義できたと思っていてはいけない。Supergravityではもう一つ重要な変換が残っている。それはボソンとフェルミオン間のsupersymmetry transformation(超変換)である。共変微分はその変換にも共変になるように定義しなければならない。その共変微分をとして帽子をかぶせて表すことにする。このsupersymmetry transformationでの接続形式はスピン接続を使って、
と定義される。ただし、このように接続形式を定義するともはやTorsionは0では無くなる。実際、
となる。特に見た目は変わったところは無いが、曲率は次のようになる。
で、スカラー曲率は
となる。vielbeinで縮約しているだけで計量で縮約したスカラー曲率と全く変わりは無い。
ちなみに最初のlagrangianでははっきりしないが、共変微分をTorsion freeので書き換えると四体フェルミ相互作用項が出て来る。
あともう一つ言っておくことは、ここで出て来るスピノルはすべてMajoranaスピノルであり、Majorana条件
を満たす。は転置である。は荷電共役行列であり、
を満たす行列である。ディラック共役はで定義されている。そしてlagrangianで出てきたはRarita-Schwinger場と呼ばれ、スピン(要確認)の場で、重力場とともに超多重項をなすベクトルの添字も持ったMajoranaスピノルである。
は相対論的量子力学で出てくるガンマ行列である。今は4次元なので普段と変わりないと考えて良く、
の反交換関係を満たすように定義されている。この記事では
という表示を用いる。なのでは対称行列となっている。
の反対称積である。また、今後はも出て来るが、これもとの反対称積である。具体的には
のような形をしている。
さて、lagrangian
は一般の座標変換(という名のリー微分)
と、局所ローレンツ変換
に対して不変である。そして、以下のsupersymmetry transformation
に対しても不変である。このことを詳しく見ていく。
まず、lagrangianを曲率を表すアインシュタイン項とRarita-Schwinger場の項をそれぞれ別々に扱いたいので名前をつける:
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where
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この2つのlagrangianは
,
と書き換えられる。なぜこう書き換えられるのかをまずは見ていく。まずはアインシュタイン項から。
まずはvielbeinの行列式をどうにかしよう。そのためにはまずを考える。
と、したいところだが、これは間違っている。だが右辺が左辺に比例することは確かなので比例定数をとでも置き、とすると
となるので、。ゆえに
このこととLevi-Civita symbolの公式
を書き換えられた方のアインシュタイン項に使う:
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これで式(27)は確かめられた。次にRarita-Schwinger項を確かめる。まずはlagrangianのガンマ行列を局所ローレンツ系に落とし込む。
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で、このガンマ行列の反対称積には恒等式があり、
が成り立つ。これはを使えばちょっとした計算で出てくる。さらにガンマ行列の恒等式として
が成り立つ。これに対しては実際に値を放り込んでいけば確かめられる。これにをかけて、
となる。そこでとを使って右辺で生き残る項のみを拾えば
となる。これをRarita-Schwinger項に使えば
これでRarita-Schwinger項があんな感じにに書き換えられることが分かった。
次にやることはがを微小に動かしても不変になることを証明することである。この事実が無いともっと地獄なのでさっさと示しておく。
まずはアインシュタイン項を考える。においてを動かすと
.
と接続形式の共変微分で表せられる。これを使うと
.
となる。ここで3行目から4行目に移る際に部分積分を使った。に含まれているスピノル的量が0または2なので可能で、また全微分項は落としている。
アインシュタイン項はここまでで止めておいてRarita-Schwinger項を見ていく。荷電共役行列$C$の定義を書き忘れていたのでここに書いておく。荷電共役行列は
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ような行列である。まずのを考える。共変微分の中のが関係する(さらにを省いた)項はmajorana条件から
.
と書ける。符号はがスピノルなので交換したら$-$がついたり、荷電共役行列の定義からだったりややこしいので気をつけなければいけない。ここからさらに
と書ける。これはガンマ行列の間にを挟んで荷電共役行列の定義を使えばすぐである。なので
となることが分かる。このような荷電共役行列とmajoranaスピノルのテクニックはこの先も使っていく。ここで再び恒等式を1つ用意する:
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は共変微分の中にしかいないのでこれを使って、
となりアインシュタイン項の変分と打ち消し合う。よって、はの変分に対しては不変である。
まずはアインシュタイン項をsupersymmetry transformationする。こっちの方はただの計算なので簡単。
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vielbeinの逆行列の微小変換はから導く。ちなみにこの括弧の中を計量で書き直せばアインシュタイン方程式の左辺であることが分かる(当たり前か)。アインシュタイン項はここまでで止めておく。
次にRarita-Schwinger項を考える。まずは率直にsupersymmetry transformationを行う。
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部分積分の使用と全微分項は落とすことととなることを使った。ここで、また恒等式を1つ準備する。
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ここからさらにとより
となる。これを使うと
と書き直される。ここで一行目から二行目に以降する際にを用いた。そしてなんと第二項目はとなるので消える(驚くことでもない?)。また、これから第一項目を見るのだが、その前にLevi-Civita symbolの恒等式を用いると
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が得られる。これを第一項目に使うと
と書き換えられアインシュタイン項と打ち消し合う。
さて、残るのは
のみである。ここで、とより
となる。よって
となる・・・・・・。ここでFierz identity
をとして二項目に使う。
まずこの第一項目はとよりについて対称になるのでLevi-Civita symbolの反対称性から消える。第二項目も縮約を取った後、から消える。第四項目もよりについて対称になるので消える。第五項目はになるので消える。第三項目はとなるので
となって元の第一項目と打ち消し合う。よってsupersymmetry transformationによって
である。
次はたぶん双対対称性か11次元のlagrangianの対称性です。